長崎県精神医療センター
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院長挨拶

砂漠の思想

 当精神医療センターは県立病院が担うべき役割、備えるべき機能、果たすべき使命とは何かを問い続けながら、この5年間いくつもの改革に取り組んでまいりました。
 改革の基本戦略は病床数削減による医師・看護師ら人的資源の、病棟機能に応じた再配置であります。すなわち、旧大村病院時代の6個病棟を「救急・急性期医療」、「児童・思春期医療」、「重症包括医療」の3つの機能に集約し、精神科特例のもとに薄く均等に配置されていた医師・看護師を、一般医療と同等の手厚い治療・看護のレベルに引き上げることでした。
 病床削減と同時に「精神科急性期治療病棟」の指定取得、ついで「精神科救急入院料」算定認可を目指しました。「入院医療中心から地域生活中心へ」を基本理念とすることの意思表示です。後者の認可には時間外・休日・深夜受診件数が年間200件以上、病床の半数以上が個室であることなど、いくつもの困難な要件を満たすことが求められます。
 そこで、当センターは精神科救急患者に24時間365日対応可能な「精神科救急医療センター」の指定を取得することで、これらの要件をクリアすることにしました。平成16年度に精神科救急情報センターを併設していたことが幸いして、19年4月、全国で6番目、九州では初の精神科救急医療センターに指定されました。そして8月には、全国でもまだ数少ない(九州では4番目)「精神科救急入院料」認可施設となることができました。
 以上の改革を推進するうえで最大の難問は精神保健指定医の確保でありましたが、その解決策は、しかし、思いがけないところにありました。さらなる指定医の増員を課する医療観察法指定入院医療機関の受諾です。指定医が3名しか在籍していなかった当時の状況を振り返りますと、無謀ともいえる決断でありましたが、不退転の決意をもってのぞみました。
 この決断によって当センターのあり方が旗幟鮮明となり、それに導かれるようにして指定医が集まりはじめました。いまや医局は梁山泊のごとき様相を呈しています。
 平成20年4月1日、精神科救急病棟、思春期病棟、包括治療病棟についで第4の病棟である「医療観察法病棟」をオープンしました。これら4つの病棟がそれぞれ治療対象を特化し、それに応じた治療環境を整えたことで、当センターの役割、機能、使命は誰の目にも明らかになったのではないかと自負しております。
 われわれ人類の祖先は、最近の学説によれば、アフリカの砂漠で生き延びる術を獲得し、それが飛躍的な進化をもたらしたとされています。当センターも、自治体病院存亡の機にあって、この5年間スタッフのひとり一人が必死に知恵をしぼってまいりました。その過程で得た学びは、「手が届かないと思って近づかないよりは、近づけば手は届くものだと思うこと」、そして「どんな困難も解決策が必ず見つかる、あとは意思の問題である」ということです。賢者曰く、どんな砂漠にもどこかに水の湧く場所はある。「砂漠の思想」と題した所以であります。
 当精神医療センターはこれからも、県民の皆様の信頼に応えるべく、診療・教育・研究の向上に努力して参ります。どうか、これまで同様、ご支援賜りますようよろしくお願いいたします。
長崎県精神医療センター 院長 高橋 克朗
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